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ハウス栽培の自動化/効率化の大きな助けに。養液土耕栽培システムのメリットと注意点


近年、多くの野菜・花卉農家などで導入・実用化されている養液土耕栽培。土の良さを活用しながら養液栽培の施肥の考え方を取り入れた栽培様式で、効率的に増収や品質向上が期 待できるのが魅力です。今回は養液土耕栽培のメリット・注意点をご紹介します。

はじめに:養液土耕栽培とは?

養液土耕栽培とは、水と肥料を混合した液肥を、点滴チューブを通して土壌に供給する栽培方法のこと。養液“土耕”は培地が土壌の場合のみの呼称で、培地が水(水耕)や固定培地の場合は“養液栽培”と呼ばれます。
土壌が持つ本来の良さを活かしながら、養液栽培の手法を取り入れる「オイシイとこ取り」な手法。また、元肥を使用しないため過剰施肥による土壌・水質の汚染を軽減することが可能です。生育段階に応じ、必要な肥料と水を液肥混入器で生成。点滴チューブを通して給水します。

養液土耕栽培の導入方法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

点滴チューブで少量の水をポタポタと落とすこの手法は、慣行栽培より植物にストレスなく給水することが可能。定植直後の苗にストレスをかけず、水・酸素・肥料をバランスよく与えることができます。これにより、活性の高い根が発生します。必要最低限の水・肥料の量で収量・品質の向上を図ることができるのです。

メリットと注意点

農業従事者にとって、養液土耕を導入するメリットとは何か?端的に言うならば、それは省力化・効率化です。点滴チューブを通して液肥が自動給水されるため、「水やり」をおこなう慣行栽培に比べ大幅な時間短縮につながります。
根域以外には潅水しないのも養液土耕栽培の大きなメリットの1つです。無駄な領域に液肥を与えないため、雑草の発生を抑えられ除草作業が軽減されます。また、必要最低限の水分のみを供給するためハウス内の湿度も低く抑えることができ、病気の発生が少なくなり防除作業のを最小限にすることができるようになります。

※ 養液土耕栽培が困難な条件

・用水・井戸または水道などの潅水設備が整っていない
・水の鉄やマンガン濃度が高い
赤い色をしている。または時間を置くと赤くなる水では、鉄がマンガンが点滴チューブの吐出口を詰まらせる可能性があります。
・栽培面積が小さい
液肥混入器や点滴チューブは機材や資材を必要とするため、小規模の栽培では経済的に不利と考えられます

新しい養液土耕ツール「ゼロアグリ」

従来の養液土耕栽培システムはタイマー式。日々の天気や生長段階に応じて、生産者がその都度潅水量や施肥量の設定をおこなわなければいけませんでした。しかし近年ではIT農業の出現により、作物の成長に合わせた必要な量の培養液を自動で判断し、適切な時間に点滴チューブより自動供給するようになりました。
養液土耕栽培システム「ゼロアグリ」は、日射センサーと土壌センサーで取得した情報を基に、潅水と施肥の供給量を自動で決定する農業IT。実際にゼロアグリを導入した農家では、収量が前年比28%増加したうえ、施肥の手間が省けたことで作業時間を90%削減・規模拡大につながった例も出ています。

まとめ

農林水産省の統計によると、農業従事者は平成22年の260万人に比べ80万人減少しており、農業従事者内の65歳以上の比率は6%上昇しています。これからの10年間、農業従事者のさらなる減少が見られることは想像に難くありません。新規就農者が最も悩む、気象や生育に適した「かん水と施肥」を、IoTとAIで自動化したゼロアグリは、新規就農者の注目のツールと言えます。

高齢化の進む農業市場では、省力化・効率化は1つのキーワードとなっています。そして、「アグリテック」と呼ばれる領域は、省力化を牽引する存在になっていくでしょう。ゼロアグリでは、これからもアグリテックの最新事例を注視していきます。

 


出典:ゼロアグリ,農林水産省,北海道立道南農業試験場,産経ニュース,モノタロウ
img:unsplash

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